花粉症
花粉症の治療
春先になると、目のかゆみや鼻水などといった症状を訴えられる方が非常に多くなります。いわゆる「花粉症」と呼ばれる症状で、特に2月~5月に多く飛散するスギやヒノキの花粉がその主な原因とされています。花粉症は、I型アレルギーに分類される疾患のひとつで、特に目のかゆみや充血は「季節性アレルギー性結膜炎」とも呼ばれます。早期に適切な治療を開始できることで症状を和らげることができます。
花粉症が起きるメカニズム
花粉症はアレルギーの一種です。目がかゆくなったり鼻水が出やすくなる理由は体の免疫作用によるものです。外部から悪影響をもたらす異物が体内に侵入したと認識され、涙や鼻水を流すことによってそれを排除しようと体の防御機能がはたらきます。花粉は通常であれば体に対して特に害をもたらすようなものではありませんが、過剰に反応して攻撃しようとしてしまうのがアレルギーの特徴です。花粉が目の粘膜に付着することで体内からヒスタミンと呼ばれる物質が放出されます。それにより神経が刺激され、強い目のかゆみや充血を引き起こします。現れる症状の内容や程度も千差万別で、発症するタイミングも人によって大いに異なります。最近では小さなお子さんの患者さんも増加傾向にあります。できるだけ早期に異常に気づき、その方にとっての適切な治療法を見つけ出すことが重要となります。
花粉症を引き起こす植物例
実は花粉の飛散は1年を通じて行われています。飛散時期も植物の種類によって異なります。花粉症を引き起こす代表的な植物を一部ご紹介します。
スギ(2月~4月) ヒノキ(3月~4月) イネ科(5月~10月) ブタクサ(8月~9月)
シラカンバ(3月~6月) ヨモギ(9月~10月) カナムグラ(8月~10月)
花粉症によって現れやすい目の異常
いつもと違う目の症状を感じた場合には、早期に治療にお越しください。
●激しい目のかゆみ
●目の中にゴロゴロするような違和感がある
●涙が止まらない
●目が赤く充血する
●まぶたや目の周りが赤く腫れあがる
●ひどい目やにが出る
など
花粉症の治療について
実際に花粉の飛散が始まり、強い症状が現れ始めてしまうとそれに伴い、どうしても強い薬を処方せざるをえなくなってしまいます。ご自身にとっても薬の効きが悪く感じられる傾向があります。ベストな治療タイミングとしては飛散前の早い時期がおすすめです。比較的弱い目薬や飲み薬などを用いて体を少しずつ慣らしておくことで、ピーク時の症状を緩和することができます。シーズン全体としても薬の量を結果的に少なく抑えることができます。毎年強い症状にお悩みの場合には、ぜひ症状の出ていない早い段階から治療を開始されることをおすすめします。地域にもよりますが、目安としては1月中旬くらいから治療を開始されると良いでしょう。あわせてゴーグルやマスクを着用するなどして、物理的に花粉から目を守る工夫を行うこともとても有効です。
点眼剤による治療
かゆみ止めや抗アレルギー剤をはじめ、ステロイド薬から免疫抑制剤まで当院ではさまざまな種類の点眼薬を取り扱っております。
飲み薬による治療
飲み薬を服用し、体の内部からアレルギー反応を抑制・緩和いたします。
上まぶたの裏側に粒状の隆起がみられる場合にはすぐに受診を―
アレルギー症状が強くみられる方の中には、上まぶたの裏側に粒状の隆起ができやすい方がいらっしゃいます。眼球部分にその病変が繰り返し当たるようになってしまうことで、角膜を損傷しやすくなります。視力低下を招く危険もあるため、上まぶたの裏に異常がみられる際にはすぐにご受診ください。
コンタクトレンズを使用している方は清潔な環境維持に努めて―
コンタクトレンズを使用されている場合には、花粉や汚れが大変付着しやすくなってしまいます。結膜炎などのさまざまな目のトラブルが発生しやすい状態となるため、花粉の時期には普段以上にこまめな洗浄など清潔な管理に気をつける必要があります。
間違ったケアや自己判断によるさらなる悪化を防ぐためにも 異常を感じたら早期に治療にお越しください
目はとてもデリケートで症状が強く現れやすい部位です。強くこすったり、力任せに掻きむしってしまうと目の粘膜や眼球を傷つけやすくなります。さらには細菌による感染症まで引き起こす可能性が高まります。間違ったケアの仕方をされている方や、誤った自己判断によって症状をさらに悪化させてしまわれる方も残念ながら毎年多くみられます。目に異常を感じたら速やかに治療にお越しください。花粉症に似た症状を持つ病気も多く、正しい診断が必要となります。原因が分からず長くお悩みになられている方にはアレルギー検査も行っておりますので、まずは当院の医師やスタッフまでお気軽にお問いあわせください。